蜜蝋文庫

聲 - koe -

ごぽり、ごぽり。 息苦しさと纏わりつく水に、四肢の自由を奪われる。 沖合で、船が嵐に遭ったのだ。 転覆して、あとはあっという間だった。 自分はこのまま死ぬのだろう、とどこか諦観にも似て思う。 身を切るような冷たさに感覚を失くしていく手を、誰かに強く引かれた気がした。 あなたの体は、底に向かって真っ逆さまに絡め取られていく。 薄れゆく意識の中で、不思議な歌を聞いた。

①深海列車 目覚めたのは小さな車室。 電灯にベージュの蛾がぶつかっては、乾いた羽音を立てる。 列車は海の底をひた走る。 遠く強い光、星に向かって。 ②紅い園生 薔薇の茂みが僕を、私を呼んでいる。 金色の雨が降っている。 くすくす、くすくす、逃げ惑う声。 紡がれる歌は、だあれ？ ③永久凍土 きらきら、きらきら。凍てつく世界。 少年はあなたの傍らで、静かに、寂しげに微笑う。 きらきら、きらきら。映すものは何？ 氷のつぶての内側に見るのは、懐古。 ④運命の火 あかあかと燃える蠍の火。 今にも消えてしまいそうな君の、黒曜石の瞳がひかる。 歌え。望むもののために。 その聲は運命を手繰る糸となる。

■PC1（思春期程度の少年又は少女） 気がつくと、海の底を走る列車にミラと名乗る美しい少年と二人きりで乗っていた。行く手には、遠く強い光が瞬いている。あれは、星だろうか？ あなたの【使命】は「深海列車に乗って終点まで行くこと」だ。 ※秘密はセッション開始後に公開される。

■ファイルの形式について ・pdf：スマホ等の端末でも閲覧しやすいです。 ・zip：pdfファイルに加えて、ロゴ画像・txtファイルが同梱されています。

■その他 2019年12月7日・8日開催の「BOOTH Festival アナログゲーム回 3」で頒布した書籍のDL版。 また、今後シナリオがバージョンアップされる可能性があります。一度でも購入されていれば最新版のダウンロードが可能です。更新情報はこちらのページに掲載するほか、当方のTwitterでもお知らせをしています。 20.06.03：DL版公開 20.06.06：微修正

■シナリオ利用規約 https://profcard.info/u/rJqtZMXapIXZTnXmReZA9ONnBAI2